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| 「誰も到達したことのない場所に行きたい」−繁田氏が、開発メンバーに手を挙げたのは持ち前の“開拓精神”からでした。 |

| 当時、リノレックSという画期的な美白成分が発見されたにも関わらず、それを化粧品に配合する技術の研究がなかなか進まず、会社としていったん開発をストップしようという動きさえあったのです。ですが、それまで上司が、外国まで出向いて現地の研究者に教えを請うた背景もあり、常々その努力を伝え聞いていましたから、ここで終わりにはしたくないという思いがありました。もともと“砂漠のような何もないところを進んで、宝物を見つけたらラッキーと思う”タイプ。それで、社内で本格的に製品化する、という話が出たとき、まっさきに「ハイ!」と手を挙げたのです。−(繁田氏) |

| “宝探しの旅”に出たのは1996年、「リノレックS」が発見されてすでに8年が過ぎていました。 |



「リポソーム化すれば、リノレックSの美白効果が上がる」以前から、研究所内ではこうした仮説がありました。
リポソームとは、細胞膜の構造に似せて人工的につくった膜でできた、肉眼では見ることのできないナノレベルの非常に小さなカプセルのこと。成分の効果が高まるという論文も発表され、実は1980年代の化粧品業界で大流行しました。 |

| ところが、リポソーム化の技術は高価なうえ、どんな成分でもリポソーム化すればメリットがあるというものでもなかったのです。(繁田氏) |

| そのため、研究所内でも上の仮説に対して賛否両論。しかし、成功すれば一気に商品化が具体的になる・・・そこで再び、地道な実験が始まったのです。 |

| 「リノレックSをリポソーム化して、有効性が実証できればOKでは」と思われるかも知れませんが、そう簡単にもいかないのです。実はリポソームにも数十種類の型があって、まずそれらをすべて試す必要があるのと、一方でリポソームでないカプセルでも試して、より有効な方法も探る必要があったのです。(繁田氏) |



| こうしてリノレックSに適したリポソームである「ナノトランスファーカプセル」化に成功したものの、その先にもう一つ、大きな壁が待っていました。 |

| 実は、ナノトランスファーカプセルはクリームに配合すると不安定になりやすいという性質があるんです。ほとんどの化粧品には成分を安定させ使用感もよくするための油分をはじめとして様々な成分が入っていますが、これがナノトランスファーカプセルを壊してしまうのです。(繁田氏) |

| ナノトランスファーカプセルと油分との共存、これが何年も繁田氏の頭を悩ませることになりました。 |

| それまで仕事で胃が痛くなるなんてことはなかったのですが、この研究の最中はご飯もまともに食べられませんでした。途中で学会発表のためアメリカに行ったのですが、オフでも楽しむどころの気分ではありませんでしたね。頭の中は常にナノトランスファーカプセルのことばかり。(繁田氏) |

| 手探りのような状態で数え切れないほどの試作を繰り返した結果、ついにたどりついたのが「ゲルネットワーク乳化」という技術。ナノトランスファーカプセルを壊すことなく、中の「リノレックS」を安定して肌に届け、かつ理想的な油分バランスで使用感も快適、というまさに“いいとこどり”の技術なのです。 |


商品化まで、あと少し・・・。
このとき時代はすでに、21世紀を目前に控えていました。(次月へ続く>>) |


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